障害者雇用【退職】前に知っておくべき3つのポイント

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「障害者雇用で働いているけど、退職を考えていて…」
「もっと自分に合った働き方があるんじゃないか」
「障害者雇用で働いている人の退職理由とは?」
と、障害者雇用で働く人の退職理由が気になったり、実際に退職を検討している方もおられるかもしれません。

障害者雇用では一般雇用と比べて離職率が高い現状があり、せっかく障害者雇用で就職できても、長続きせずに退職してしまう方もおられます。

今回の記事では、障害者雇用で退職を検討している方のために、以下のことをお伝えしていきます。

  • 障害者の退職理由とその背景
  • 退職前に知っておくべき3つのポイント
  • 障害者の再就職 手順と支援機関

記事の最後に、障害者の転職活動で利用できる就職支援機関も具体的にご紹介します。


障害者の方の退職を推奨しているわけではありませんが、時には必要なこともあります。

そして、退職に踏み切る前には、退職の流れや制度、退職後のことを考えておくことが大切です。

もし今、退職を考え悩んでいるのであれば、この記事を最後まで読んでいただき、一人で抱え込まずに退職するかどうかの判断にお役立て頂けると幸いです。

目次

障害者の退職理由とその背景

障害者雇用の退職理由

まずは、障害者の離職率や退職理由のをお伝えしていきます。

障害者の離職率

厚生労働省の資料によると、障害種別の職場定着状況は以下のグラフのようになっています。

引用:平成29年9月20日 厚生労働省職業安定局 障害者雇用の現状等


こちらは、直近のデータではありませんが、障害者の職場定着状況については、知的障害や発達障害では1年後の定着率が70%前後あるのに対して、特に、精神障害では50%を切っていることが分かります。

障害によって、定着率に違いがあるんだね。

そうだね。
これは障害者雇用だけでなく一般雇用で働く障害者も合わせた結果ということもあるけれど、障害のある方は職場定着率が低く、一般と比べて離職率が高い傾向にあるよ。



また、同資料では、求人種別の障害者の定着状況も紹介されています。

引用:平成29年9月20日 厚生労働省職業安定局 障害者雇用の現状等


こちらのグラフ結果では、以下の場合に、職場定着率が低くなっていることが分かります。

  • 一般求人に障害非開示で就職する
  • 一般求人に障害開示で就職する


また、上記の例として、身体障害者は一般求人に障害開示、精神障害者は一般求人に障害非開示で就職するケースが多くみられる結果が出ています。

つまり、障害者雇用枠で雇用されて働いた場合が、1年後の定着率が一番高くなっているということだね。


この結果の理由としては、

一般求人で障害非開示や一般求人で障害を開示して採用されている場合は、職場環境や職場の人から配慮が得にく状態であったこと、一方、障害者求人で採用されている場合は、採用時から障害者と認識されて配慮を受けていることの影響が大きいと考えられます。

障害者は、障害を開示せずに働くことも出来るけれど、障害を開示して配慮を受けて働くことにはメリットがあるんだね。



障害別 障害者が退職する理由

厚生労働省の調査によると、身体障害者と精神障害者の「前職の離職理由」は以下のようになっています。
*身体障害者と精神障害者のみ調査あり。

身体障害者 個人的理由での退職が61.3%と最も多い

個人的理由の主な理由として

  • 「賃金、労働条件に不満」 
  • 「職場の雰囲気・人間関係」 
  • 「仕事内容が合わない」
  • 「会社の配慮が不十分」
精神障害者 個人的理由での退職が56.5%と最も多い

個人的理由の主な理由として

  • 「職場の雰囲気・人間関係」 
  • 「賃金、労働条件に不満」 
  • 「疲れやすく体力、意欲が続かなかった」
  • 「仕事内容が合わない(自分に向かない)」 

参考:平成25年度障害者雇用実態調査結果


そして、より具体的には、以下のような理由があります。

  • 仕事と職場が思っていたものと違う
  • 職場の人間関係がうまくいかない
  • 賃金や労働条件への不満
  • 仕事内容のミスマッチ
  • 業務遂行上の課題あり(作業・能率面での適応が困難)
  • 健康上の理由(疲れやすく体力や意欲が続かない・症状の悪化や再発)
  • 合理的配慮が得られない・次第に配慮がなくなってしまった
  • キャリアアップのため

一般雇用の退職理由でも上位に挙がる「仕事内容や人間関係のミスマッチ」は、障害者雇用でも多い退職理由です。

人間関係においては、仕事をする上での連絡や報告などのコミュニケーションは必要ですが、人付き合いが苦手・休憩時間は一人でいたい方は、「疲れやすいので、休憩時間は一人で過ごしたい」ことを事前に職場で伝えて配慮を得る方法もありますので、人間関係を保つための配慮を求めてみてはいかがでしょうか。

安定して働くために、自分に合う人間関係の距離感を知り、働きやすい環境作りをしていくことは大切だね。



一方で、

「症状の悪化」「作業・能率面での適応が困難」「会社の合理的配慮が得られない」などは、障害者雇用特有の退職理由です。

このように退職理由をみていくと、障害者が継続して働くためには、一般雇用と同じく、仕事内容や賃金、評価等の労働条件に加え、障害に適した職場環境や業務内容、理解ある職場の人間関係、体力や意欲の維持、通勤距離などさまざまな条件が、障害者個人個人の障害特性や希望と合っているかが大切であることが分かります。

障害者の退職理由も傾向があるので、障害者が会社を辞める兆候を雇用主側でも気づいてもらえるようになるといいな。


障害者の退職勧奨や解雇の現状

障害者の退職において、自己都合退職ではなく、退職勧奨や解雇のような会社都合での退職が気になる方には、以下のようなデータがあります。

障害者の解雇者数って増加傾向?

法定雇用率の引き上げなどの取り組みにより、障害者雇用で働く障害者も増えている背景もあるよ。

また、以下のデータのように、解雇理由は事業廃止や事業縮小によるものがほとんどだよ。

引用:令和5年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめを公表します

障害者自身がきっかけで解雇されてしまうな場合は、多くないみたいで少し安心した。



ただし、

障害者雇用は差別が禁止されているなどで法に守られ解雇されにくい面はありますが、一般雇用と同様に、障害者自身にきっかけがあり解雇に至ることもありますので、以下の記事も是非参考にしてください。

障害者の就職と定着をサポート

障害者向け転職サイト・エージェント

就労移行支援事業所

次の章からは、退職前に知っておくべき3つのポイントを紹介していくよ。

ポイント① 障害者雇用における退職手続き

ここからは、退職の流れや手続きについて紹介していきます。

会社側に退職を伝えて受理されてしまうと、後戻りはできません。

退職したいと思った場合、今後の生活も考えながら、働きながら転職活動をするのか・退職してから就職活動をするかを決めていきましょう。

出来れば、働きながら転職活動をしていくのが経済的にはお勧めだけど、職場での状況や体調なども考慮してね。


退職を決める前の考慮事項と退職の流れ

  1. 退職したいと思った理由を明確にする
  2. 退職のリスクとメリットを把握する
  3. 仕事を続けるための方法・問題解決の相談先はないか考える
  4. 退職後の生活・キャリアについて考え確認する

退職を決意した場合は

  1. 出来れば在職中に、次の仕事を探し始める
  2. 退職の意向を会社に伝える

本当に退職しないと解決できない問題かどうかは、よく考えたいね。

そうだね。

会社側の担当はもちろん、就職前に通所していた就労移行支援事業所や障害者就業・生活支援センターでは、職場での困りごとの相談できるよ。一人で悩まず相談してから退職の判断をしてね。


退職の進め方

退職することを決めた場合は、会社側に対して次の手順で進めていきます。

STEP
退職交渉(退職の申し出)

職場の就業規則に従い退職の意向を伝え申請する。

「退職日の○○日前まで」など、申請の期限が就業規則に設けられているので、その期日を守る。

雇用契約書も確認しておく。

STEP
退職願の提出

退職を申し出て退職が認められたら、書面で退職届を提出する。(退職日の決定)

STEP
退職

退職日までに担当していた業務の引き継ぎや、職場の私物整理などを済ませる。

(有給消化で、在籍最終日の退職日より前に、最終の業務を行う出勤日が設定される場合は、それを考慮して業務の引継ぎや私物の整理などを済ませる。)

退職当日は、お世話になった上司や同僚へお礼を伝え、入館証や名刺などの返却をする。

お互いに気持ちよく退職するために、ここは大切だね。

STEP
失業保険の申請

退職後に勤めていた企業から離職票が届いたら、その他の必要な書類を用意して管轄のハローワーク(公共職業安定所)で、失業保険の申請を行う。

退職日までに、離職票がいつごろ届く予定かなどを会社に確認しておくといいね。

ちなみに

次の就職先がすでに決まっているなどで失業保険を受けずに就職する場合は、次に離職して失業給付を受ける際に合算されるよ。

STEP
求職活動

失業保険の受給期間中は、求職活動をすることが義務付けられている。

ハローワークの認定日に求職活動の報告をすることで、給付日数が終了するまでは受給を継続することが出来る。


職場で雇用保険に加入していれば、退職した時に失業給付が受給できるのは嬉しいね。
*ただし、受給条件があります。

後ほど詳しく紹介するけれど、
障害者の雇用保険は「就職困難者」に該当する場合があるよ。

一般よりも受給条件や給付日数が優遇されているので、自分が該当かは確認してみてね。


障害者雇用 会社側の退職手続き

ちなみに

企業が障害者を解雇する場合においては、障害者に解雇を告知後に、「解雇届」をハローワークへ提出する必要があります。
(障害者雇用促進法81条1項)

一般と比べ、障害者の再就職は困難であることが多いよ。

ハローワークが障害者の再就職の支援を迅速に行うために、企業側には解雇届の提出が義務付けられているよ。


ただし、以下の場合は、障害者が退職してもハローワークへの届け出の必要はないとされています。

  • 自己都合での退職
  • 労働者の責任による解雇
  • 天災事変などやむを得ない理由により事業継続が不可能となったことによる解雇

自己都合で退職の場合は、会社側から届け出はないんだね。


引き止めで退職できない場合は

ここで、「障害者の引き留め」の問題も少しご紹介しておきます。

企業によっては、障害者の法定雇用率維持をし助成金や報奨金を受け取る・納付金を支払いたくないために、強引な引き留めなどで「障害者を辞めさせてくれない」という問題がおきている場合もあります。

障害者であることを理由に解雇することは違法ですが、その逆の「退職させてくれない」場合もまた違法の可能性があります。

そのような事態がおきた場合は、支援機関に相談をしたり、退職代行サービスを利用することも出来ます。

例えば、退職代行を行う企業では、
弁護士監修で24時間・全国対応の退職代行【TORIKESHI(トリケシ)】があるよ。

退職させてくれない場合の対処法を知っておくのも大切だね。

ポイント② 障害者の失業保険の申請と受給

雇用保険(失業保険)って何?

会社を退職する場合に是非知っておきたいのは、雇用保険(失業保険)の申請や受給についてです。

会社に勤める際は、給与の一部から保険料を払う形で雇用保険に加入しており、その一部は会社も負担してくれています。これを、別名「失業保険」と呼ばれます。

ただし、就労形態によっては雇用保険に加入していない場合あるので、自分が雇用保険に加入していたかは確認してね。

  • 会社を退職した際、雇用保険加入をはじめ受給条件を満たしていればそれに応じて、国から失業保険(正式名称:基本手当)を貰う事ができます。


失業保険の手当を受け取るためには、退職後に管轄のハローワークへ申請が必要です。

また、申請後は、ハローワークに指定された認定日に就職活動の報告をし、失業認定を受ける必要があります。この認定を受けないと、受給がストップするため、注意が必要です。

失業保険は、就職活動をサポートするための手当なので、就職活動ができない状態では受給できないよ。

例えば、病気や怪我などで療養や治療が必要な場合や、妊娠・出産などで、すぐに働くことが難しい場合だよね。


病気やケガなどですぐに働くことが出来ない状態の場合は、雇用保険で給付される失業等給付の一種である傷病手当を受給できる場合もあるので確認してみましょう。


障害者の失業保険の分類と受給条件

そして、失業保険を受ける際、障害者は「就職困難者」に分類されます。

就職困難者
  • 身体障害者(身体障害者手帳の取得者)
  • 知的障害者(療育手帳の取得者)
  • 精神障害者(精神障害者保健福祉手帳の取得者)
    *ただし、精神障害者には例外があり、てんかん、躁鬱病、統合失調症に該当する人は医師の診断書があれば就職困難者として手続きが可能になる場合もある。
    *障害者以外の就職困難者には、保護観察期間にある方、社会的事情により就職が著しく阻害されている方が含まれる。

障害者の失業保険(雇用保険)の受給条件

  • 失業状態であること(労働の意思や能力はある)
  • 離職前の1年間で被保険者期間が通算6ヶ月以上あること

    *非正規雇用で働いていた場合でも、雇用保険に加入していれば対象となる。


一般では、「離職前の2年間で雇用保険に加入していた時期が通算して12か月以上あること」が受給条件ですが、就職困難者はその半分の期間が受給条件となっており、条件が緩められています。
*ちなみに、一般でも、特定受給資格者や特定理由離職者となる場合は、離職日以前の1年間で6カ月以上あれば受給資格が得られます。

就職困難者は、配慮されてるんだね。


障害者の失業保険の給付期間

障害者手帳を所持しているなどの障害者は、「就職困難者」に該当することをご紹介しました。

「就職困難者」の失業保険の給付日数は、被保険者期間や年齢で以下の3つに分けられています。

参考:よくあるご質問(雇用保険について)

一般の離職者の場合は、
・被保険者期間が20年以上で150日
・倒産や解雇による離職の場合は45歳以上60歳未満の20年以上で330日
が最も長い給付日数だから、就職困難者が配慮されていることがわかるね。

すごい!


「就職困難者」の失業保険を受ける重要ポイント

ちなみに、

就職困難者の認定は、「障害者雇用枠で働いていた場合の退職」に限るものではありません。


以下のような場合の退職でも、就職困難者となります。

  • 障害者手帳を所持しているけれど、障害を開示せずに一般雇用で働いていた
  • 障害者手帳がある障害者であることは開示していたが、障害者雇用枠ではなく一般雇用で採用されて働いていた

働いていた雇用形態よりも、自分自身の現状が「就職困難者」の条件にあてはまっているかがポイントなんだね。

個々の現状もあるので、詳しくは管轄のハローワークで自分が就職困難者に該当するか確認してね。



また

「就職困難者」と認められるには、いつの時点で条件を満たしている必要があるかご存じでしょうか。


それは、有給消化などを終えた「退職日」の時点です。

雇用される時点で障害者手帳を取得している方や、今後も改善が見込めるわけではない障害の方は心配されることはない思いますが、

一方で、鬱などの精神障害が改善して就労中に障害者手帳を所持しなくなった方や、精神障害や発達障害などがあるかもしれないが通院したり診断を受けていないために、障害者手帳の取得をしていない方は、「就職困難者」の条件には該当しない可能性が高いため注意が必要です。

私は退職を決めて有給休暇消化中に発達障害の検査を受け、退職日の後に発達障害の診断結果が出たので「就職困難者」には該当しなかったよ…。
発達障害や精神障害は、診断が出ても障害者手帳の申請は6ヶ月後からだしね…。

自分に障害があるかもしれない場合などは、退職前から動いておくことが大切だよ。


例えば「大人の発達障害」の方では、社会に出て働き始めたり年齢が上がったりしてから、社会に適応できない・転職を繰り返してしまう原因が障害にあったとわかることもあります。

もし、職場でうまくいかない・体調や精神を崩してしまうなどで退職を繰り返してきたようなことがあれば、今回の退職の前に専門の利用機関を受診しておくことをお勧めします。

そこから、「就職困難者」と認められる疾患で通院を開始していたり、障害の診断を受けて障害者手帳を取得に至っていたりがあれば、その後やむを得ず退職となった場合も、一般ではなく「就職困難者」として失業保険を受給していくことが出来るからです。
*ただし、個々の現状もあるため「就職困難者」としての認定や受給条件については、管轄のハローワークでご確認ください。


結論として、

一般よりも緩められた条件で失業保険を受給できる「就職困難者」に該当するためには、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 退職前の勤め先で雇用保険に加入しており、離職前の1年間で被保険者期間が通算6ヶ月以上ある
  • 退職日の時点で、障害者手帳を取得しているなど「就職困難者」の条件を満たしている



その他:「常用就職支度手当」

失業保険の給付日数が一般より長く設定されれいる「就職困難者」ですが、その日数を一定数以上残して早期に常用就職できた場合には、「常用就職支度手当」を受け取ることが出来ます。

この手当は、制度が定める諸条件を満たしていれば、支給残日数に応じて以下の基本手当が支給されます。

ちなみに、
所定給付日数が270日以上の方は、支給残日数に関わらず30日分の基本手当だよ。

支給要件

以下の全てに該当すること

  • 安定所の紹介で、1年以上の雇用が確実であると認められる職業に就いている
  • 離職前の事業主に再び雇用されたものでない
  • 給付制限期間が経過した後職業に就いている
  • 常用就職支度金の支給が受給者の職業の安定に役立つと認められる
    *ただし、就職日前3年以内の就職について再就職手当又は常用就職支度金の支給を受けたことがある場合は、常用就職支度金は支給されない

参考:常用就職支度手当について

すごい!
早期に常用就職出来た際は、手当をもうらおう!

ポイント③「障害年金」は失業保険と同時に受給可能

障害年金と失業保険の同時受給


障害をお持ちの方の中には、既に受給をしている方もおられるかもしれませんが、病気やけがなどで一定の障害の状態になった際に受け取ることができるものに「障害年金」があります。

ここで、「退職して失業保険を受給すると、障害年金はどうなるの?」という疑問をお持ちの方もおられるかもしれません。

結論として、

失業保険と障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)は、支給調整に関する規定はないため、それぞれを同時に受給することが出来ます。

各制度の受給条件を満たせていればそれぞれ受給できるので、同時に受給することが出来るよ。


ちなみに、障害年金について

「障害年金を受給している人が、障害者雇用の正社員やフルタイムなどで自立した生活ができる雇用形態で働就職したら、障害年金は停止されてしまうの?」という心配をしているもおられるかもしれません。

こちらも、結論として

基本的には障害年金には所得制限は設けられていませんので、障害者雇用で「正社員で働き始めたから」「20万円以上の月収になったら」などにより、受給していた障害年金が支給停止になることはありません。



ただし、以下のどちらかに当てはまる場合は、前年の所得が一定以上ある場合には障害年金の受給額が減額されたり、支給が停止されたりします。

  • 初診日(障害の原因になった傷病で初めて医師等の診察を受けた日)が厚生年金に加入する前の場合
  • 特別障害給付金を受給している場合

*「初診日が厚生年金に加入する前」というのは、出生時に障害があったり、20歳前に障害の初診日があったりする場合。ただし、20歳前に就職して厚生年金に加入していた場合は、所得制限は適応されない。


障害年金は障害者手帳の取得よりもハードルが高い。
でも受給できた場合は、失業保険の受給・就職後の雇用形態や収入に影響を受けないので、生活の安定に繋がるね。

私は今、社労士さんや診断を受けた病院の先生と相談し、て、障害年金の申請を進めているよ。

受給できたらいいな。


障害年金も含め、障害者が自立した生活を目指すための方法は、以下の記事でご紹介しています。


障害者の再就職 手順と支援機関

ここからは、再就職に向けて、以下のお悩みを解決していきます。

  • どのように転職活動を進めればよいかわからない
  • 自分の希望や障害特性に合った仕事に出会って就職できるか不安

次の就職先を探さなくっちゃ!


転職活動での退職理由の伝え方

転職活動する際には、応募書類や面接の場面で、前職の退職理由を記載したり、質問で回答したりする場面が出てきます。

自己都合での退職理由はに、人間関係や、給与等の待遇面の不満、体調不良などのいろいろな理由があるでしょう。
また、自己都合での退職であっても、実は会社側から退職に繋がるような対応があったが大げさにしたくないために自己都合退職をした方もおられるかもしれません。

しかし、本当の理由はどうであれ、伝え方によって、面接官などそれを聞く人があなたに抱く印象は変わります。


大事なのは

他責にせず、ネガティブな出来事があったとしてもポジティブな表現に変換して伝えていくことです。


例えば、待遇に不満があった・もっと給料の高いところで働きたいという場合でも、「新しい仕事にチャレンジしたいと思い転職を決意した」と言い換えることが出来ます。

また、人間関係や職場の環境が合わなかった場合は、「障害を考慮して、より自分に合った環境の職場で働きたい」などの言い換えることが出来ます。

こういった表現の言い換えは、自分一人では難しいこともあります。
障害者雇用を専門に支援する機関で、書類作成のチエックや面接練習をしてもらう際に、表現内容を相談して回答の作成をするのが安心です。

私は、発達障害とわからずに働いていたときに、職場でいろいろあって退職することになったけれど、通所している就労移行支援事業所の就職サポートで、そのまま伝えることは望ましくないことを理解したよ。

そうだね。
障害者雇用としての応募であったとしても、伝えない方がよい内容もあるからね。

障害故に起こっていた問題が原因の退職であっても、「次は障害者雇用では配慮を受けたい」と何でも伝えてしまうのはよくありません。

「採用する側としてどう受けえ取られてしまうか」や「一般常識」的な判断は、利用している支援機関の助言を受けて回答の対策していくことが大切です。


ちなみに、そもそも論ですが、

一番ベストなのは、職場を退職する際、会社も受け入れやすいような退職理由を伝え、企業側との関係がよい状態で円満退職しておくことです。

退職で蟠りを残さずお互いの精神的負担が少ないことはもちろん、長い人生の中では今後どこかで繋がりが出来るかもしれないことも考え、退職後も必要なときは連絡をとれるような関係を築いておけると一番よいですね。


就職支援機関の活用

障害者が再就職を目指す際は、一人だけで活動せず、障害者雇用を専門にサポートしている支援機関や転職サイト・エージェントの利用をお勧めします。

それは、これまでお伝えしてきたような一人では判断できないことをサポートしれたり、支援機関を通して障害者の就職の現状を知りながら、希望や障害に適した仕事に出会う可能性を高めてくれるからです。

次に紹介するような支援機関が利用できるよ。

  • 障害者就業・生活支援センター
  • ハローワーク
  • 地域障害者職業センター
  • 就労移行支援事業所
  • 障害者向け転職サイト・エージェント


一つ一つ紹介していくよ。


障害者就業・生活支援センター

障害者の職業生活における自立を図るため、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携をして、障害者の身近な地域で就業面及び生活面における一体的な支援を行う機関です。
(令和6年4月現在 全国に337センター設置)

通称「なかぽつ」とも呼ばれる支援機関だね。

以下に紹介していく、ハローワークや地域障害者職業センター、就労移行支援事業所などとも連携してサポートすることもあるよ。


ちなみに、こちらでは職場定着支援も行っています。

仕事での困り事・悩み事の相談を受けたり、障害者が働きやすい環境を整えられるように事業主に雇用管理のアドバイスも行ったりしてくれますので、退職を考えたときは一度相談してみてはいかがでしょうか。

ハローワーク

ハローワークの求人には一般求人だけでなく、障害者求人もあります。

また、障害者の方には就職・相談の部署が専門に設置されています。「トータルサポーター」などの専門のスタッフに相談しながら、就職活動を進めることができます。

失業保険の認定などでも、ハローワークは関わりがある場所だね。

地域障害者職業センター

ハローワークと連携して、就職に必要な様々な支援を行う場所です。

北海道から沖縄まで全国にあり、障害者手帳の有無を問わず利用できます。

身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、高次脳機能障害、難病等により、就職、職場適応、復職等に支援を必要とされる方が対象です。

就労移行支援事業所

障害者総合支援法に基づく就労支援サービスのひとつです。

障害者の方など就労に困難を抱える方の就職と、就職後の安定した雇用をサポートする通所型の福祉施設で全国に3,000個所以上あります。

障害者手帳を取得していなくても利用は可能です。利用する際には地域の福祉センターに申請し「障害福祉サービス受給者証」の発行を受けて利用します。

以下のような利用条件はありますが、週5日の通所を行いながら生活リズムを整える・PCなどの職業スキルを身に着ける・個別の就職支援を受ける・就職後の定着支援を受けることなどが出来ます。

  • 在職中には利用できない
  • 前年の世帯収入によって、費用がかかる場合がある


私は、初めて障害者雇用での就職を目指しているので、退職を機に地域の就労移行支援事業所をいくつか見学して、いまの事業所に通所を決めたよ。
就職後は、安定して働く可能性を高めるために定着支援を受けたい目的もあるんだ!

そうだね。
いろんな事業所があるので、施設見学をしたりカリキュラム支援実績を確認したりして決めるのがお勧めだよ。

日本各地に事業所がある【LITALICOワークス】、一人ひとりが「はたらく未来」を実現するための【ミラトレ】はもちろん、WebデザインやITスキルが身に就く【atGPジョブトレIT・Web】、AIやデータサイエンスが学べる【Neuro Dive】など専門の職業スキルが身に就く事業所もあるから、いろいろ知った上で選ぶことが大切だよね。


障害者向けの転職サイト・エージェント

障害者雇用の「求人検索」について利用をお勧めしたいのは、障害者向け転職サイト・エージェントです。

在職中に登録して利用できますし、一度離職した際は就労移行支援事業所に通所するなど支援機関の利用と平行して、求人検索については利用していくのがお勧めです。

  • 障害者求人を出す企業の情報を知った専門的なサポート
  • 障害者に特化した求人情報


例えば、就労移行支援事業所では直接の求人案件をもっているわけではないからね。

私は、ハローワークはもちろん、身体・精神・知的障害を幅広く扱う【dodaチャレンジ】詳細な求人情報が魅力のアットジーピー【atGP】などの転職サイト・エージェントに登録したよ。

応募企業の選定に参考になる情報が多いよ。

そうだね。特にこの2つは全国の求人を扱っているからまずは登録して利用してみるといいね。

首都圏・関西地域中心の求人紹介なら【マイナビパートナーズ紹介】もあるよ。
*障害者向け転職エージェントは障害者手帳を取得している方が利用可能です。



同じ障害者雇用求人を扱っていても、ハローワークと障害者向け転職サイト・エージェントは、登録企業の傾向や情報量に違いがあります。

  • ハローワークは、中小企業の掲載が多い・非正規雇用の求人の割合が高い
  • 障害者向け転職サイト・エージェントは、大手企業の掲載が多い・正社員雇用や正社員登用予定ありの求人の割合が高い


自分が希望する雇用形態や職種などの掲載が多い求人場所で、企業検索するほうが効率的だね。





ちなみに、障害者雇用で就職を目指すことは「狭き門」でもあります。障害者雇用を目指すための基礎知識や道筋はこちらの記事でまとめていますので是非参考にしてください。


障害者の就職と定着をサポート

障害者向け転職サイト・エージェント

就労移行支援事業所


障害者トライアル雇用制度」などの活用

最後に、

せっかく再就職をしても、短期間で離職したり転職を繰り返したりでは、もったいないですよね。

本記事のはじめにお伝えしたように、障害者の退職でも、退職理由は自己都合退職の割合が多く、「障害者自身の現状や希望に合わない職場環境で働いた」ことが原因と言えます。

ですので、就職後の職場や仕事のミスマッチを減らすためには、「障害者トライアル雇用制度」や「職場実習」を活用して就職先と出会うこともお勧めします。

障害者トライアル雇用制度
  • 企業が、障害者を原則3か月間試行雇用し、適性や能力を見極め、継続雇用に繋げることを目的とした制度。
  • 企業は、労働者の適性を確認した上で継続雇用の判断が出来るため、障害者雇用への不安解消に繋がる。
  • 企業は、制度の利用に当り、助成金を受けることができる。

参考:「障害者トライアル雇用」のご案内

職場実習
  • 障害者の中には、就労に対して不安を抱えている方もまだまだ多い。また、企業側も、障害者を雇用する不安を抱えている場合がある。
  • 障害者の職場体験を通じて、企業の障害者雇用への理解を進めることを目的としている。
  • 障害者は、就業前に職場体験ができるため、実際に働くイメージを持つことや労働環境・雰囲気を知ることが出来る。


私は、就労移行支援事業所の提案で、職場実習に3日間行ったよ。
そこは特例子会社だったので、障害者の方が多い環境での職場の雰囲気や、業務内容も実際に体験できて、良い経験になったよ。

トライアル雇用では、その後8割以上の方が継続雇用されている結果があるよ。
希望する場合は、ハローワークや通所している就労移行移行支援事業所に相談してみてね。

障害者手帳がある重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者の方は、トライアル雇用の他の要件に該当していなくても対象者なんだね。

私もトライアル雇用に申し込みしてみようかな。


「障害者トライアル雇用制度」や「職場実習」は、障害者雇用を行う全ての企業が常に行っているわけではありませんが、機会が合えば是非利用して、ミスマッチのない就職を目指していきましょう。



まとめ

今回の記事では、障害者雇用【退職】理由と退職前に知っておくべき3つのポイントと題して、以下の内容をご紹介しました。

  • 障害者の退職理由とその背景
  • 退職前に知っておくべき3つのポイント
  • 障害者の再就職 手順と支援機関


結論として、

退職前に知っておくべき3ポイントは、以下の通りです。

  • 障害者雇用における退職手続き
  • 障害者の失業保険の申請と受給
  • 障害年金」は失業保険と同時に受給可能

また、転職活動では

  • 支援機関や制度を利用して、自身の希望や障害に適した就職先を選択する



そして、障害者のある方が、自身の希望や障害に適した就職先を選択する可能性を高めるには、以下のような方法が大切です。

就労移行支援事業所などの支援機関の利用や、障害者向け転職サイト・エージェントからの求人応募


就労移行支援事業所は、就職相談はもちろん、施設見学をしたりカリキュラム支援実績を確認したりして決めることが大事だよ。

\ お勧め就労移行支援事業所 /



障害専門の転職サイト・転職エージェントも、無料で登録し利用できるよ。

障害の種類なども含め基本情報の登録することで、サポートを受けたり求人応募が出来るようになるよ。

\ お勧め転職サイト・エージェント /

*今後、おすすめの就労移行支援事業所や障害者専門の就職サイト・エージェントを詳しく紹介していきますので、しばらくお待ちください。


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