障害者雇用 は【楽じゃない】！？直面する壁とその乗り越え方

「障害者雇用枠ってなかなか採用されない…」
「障害者雇用で働く方がいいと思ってた…」
「障害者雇用では生活が厳しい…」

求人の少なさ、職場での理解不足、非正規雇用の多さやキャリアアップの限界など、障害者雇用の厳しい現実を前にして、障害者雇用の難しさを感じている方もおられるのではないでしょうか。

障害者雇用の現状や支援機関の活用をせずに就職活動をすると、いろんな甘くない現実が浮き彫りになっていきます。

今回の記事では、以下のことをご紹介します。

結論として、障害者雇用の各所での壁を乗り越えるには、以下の方法での就職や転職をして就職後の支援も受けることが大切です。

就労移行支援事業所などの支援機関の利用や、障害者向け転職サイト・エージェントからの求人応募

この記事を最後まで読むことが、障害者雇用枠での就労で悩みを抱えている方々へのヒントになれば幸いです。

障害者の雇用の現状と課題

障害者の雇用の現状

また、

障害者の法定雇用率

障害者雇用のメリット

障害者雇用には、企業と障害者双方にとってメリットがあります。

企業側のメリットには、以下のようなものがあります。

そして、

障害者雇用で働く障害者本人のメリットは、以下のようなものがあります。

障害者雇用で働く本人のメリットや、デメリットの解消法はこちらの記事で詳しく紹介していますので、是非参考にしてください。

障害者雇用が楽じゃない4つの現実　

ここまで、障害者雇用が少しずつ促進されている現状をお伝えしてきましたが、

ここからは、今回の本題の障害者雇用が障害者にとって楽じゃない現状もあることについてご紹介していきます。

①手帳取得までが楽じゃない

障害者雇用の枠に応募が出来る人は、障害者手帳を取得している方になります。

ただし、

障害の診断を受けたからといってすぐに障害者手帳が交付されるわけではない場合もあるので注意が必要です。

「障害の診断を受けたらすぐに障害者手帳が取得でき障害者雇用の求人に応募できる」わけではないことを知っておきましょう。

②就職や転職が楽じゃない

障害者雇用が進まない

先にご紹介したように、障害者雇用は促進されているものの、厚生労働省の令和6年度の調査では、法定雇用率達成企業の割合は46.0％となっています。

その大きな理由として、障害者雇用の経験やノウハウがない・障害者に合った仕事を社内で見つけることが難しいことに企業が悩んでいる背景があります。

就職・転職の難しさ

障害者雇用の就職や転職に、以下のような場面と直面することがあります。

詳しくは、以下の記事も参考にしてください。

求人の少なさと職種の限定

障害者雇用での求人は、一般雇用に比べて職種の幅が狭く、求人数も少ない現状があります。

また、多くの求人は、事務や庶務、清掃業務です。ITなどでの専門職の求人もありますが、一般雇用ほどの職種の幅の広さはなく、スキルを持つ障害者が能力を発揮できる場が少ないことが課題です。

③仕事が楽じゃない

勤務時間と勤怠管理の厳しさ

障害者雇用では、障害者の実際の労働時間に基づいて雇用人数が計算されるため、1人1カウントで算定できる週30時間以上からの勤務が求められる求人が多くあります。

週所定労働時間が30時間以上の場合、法定雇用率の算定において、身体・知的・精神障害者は1人、重度身体・知的障害者は2人とカウントできる。

余談ですが、

令和6年度（2024年）4月から特定短時間労働者のカウントが追加されました。

重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である特定短時間労働者について、1人を0.5人として算定
＊特定短時間労働者：週の所定労働時間が10時間以上20時間未満である者

障害者雇用でのフルタイム勤務の現状や目指す方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。

健常者と同じ業務レベル

特例子会社や大企業では、障害者用に業務の切り出しがされていることがありますが、中小企業では担当業務の区切りが曖昧なために、健常者と同等のレベルが求められることもあります。

配慮のない職場環境と人間関係

障害を開示して障害者雇用で採用になったからといって、職場や上司が個々の障害について理解してくれるとは限りません。

そして、職場環境が整備されていない場合は、必要な配慮が受けられず、業務遂行に支障をきたすことがあります。

また、障害については配慮されても、人間関係までうまくいくとは限りません。

障害者の離職率の高さ

障害者にとって、障害を開示して障害者雇用枠で働くことは1年後の職場定着率を高めているデータがあります。
参考：平成29年9月20日 厚生労働省職業安定局 障害者雇用の現状等

しかし、これまでご紹介してきたような障害者雇用の現実があり、一般に比べて障害者の離職率は高い傾向があります。

④生活していくのが楽じゃない

収入や待遇の低さ

障害別の令和5年5月の平均賃金は、以下の通りです。

参考：厚生労働省　「令和5年度障害者雇用実態調査の結果」

疲れやすさなどの障害特性をカバーするために時短勤務の選択している障害者もいることや、障害者雇用では非正規雇用での求人割合が高いことが、障害者の収入に影響を与えています。

ちなみに、

障害者雇用での賃金に悩む方は、以下の記事を参考にしてください。

昇進や昇給の難しさ

厚生労働省における令和５年度の「障害別の正社員雇用の割合」は以下の通りです。

参考：令和5年度障害者雇用実態調査の結果

大手企業の正社員雇用などで採用されている場合は、人事制度がしっかりしているために業務貢献に応じて評価を得て昇給や昇進が叶うかもしれません。

しかし、障害者雇用で働く障害者の多くは非正規雇用で働いています。昇給や昇進の機会が少なく、キャリアアップの難しさが障害者雇用の現実として存在します。

障害者雇用で正社員登用を目指したい方は、以下の記事を参考にしてください。

障害者雇用の壁の乗り越え方

では、ご紹介してきたような障害者雇用の壁の乗り越え方をご紹介していきます。

①障害の自己理解と適切な職場選び

まず、障害者雇用で壁を出来るだけ生じないようにするためには、障害の自己理解を深めることが一番大切です。

障害があっても出来ること・障害があるために出来ないことを理解したり、自身の強みと弱みを理解し、それに合った職種・雇用形態・勤務時間などを選ぶことです。

そして、

自分に合う職場と出会うためには、就職前に職場を知る機会があれば是非利用していきましょう。

例えば、

②スキルアップや資格取得

目指す職種に必要なスキルアップや資格取得は、障害者雇用においても大切なポイントです。

なぜなら

障害者雇用であっても、目指す職種や企業によっては、健常者と同等の業務レベルを求められるからです。

採用の可能を高める・就職後に困らないためにも、目指す職種に必要なスキルを身に着けたり資格を取得したりしておくことをお勧めします。

また、就職後も業務に必要なスキルを学び続けることで、昇給や昇進の機会に繋げていきましょう。

③障害者向け就労支援機関の活用

障害者が就職・転職活動を行うとき、一人で活動せず、専門の支援機関の支援を受けることは大切です。

ちなみに、

就労移行支援事業所を利用している場合、以下のような求人を紹介してもらえることもあります。

また、就職後は安定して働き続けるために定着支援を受けていきましょう。

障害者就業・生活支援センターや通所していた就労移行支援事業所では、定着支援を受けることができます。

定着支援を利用して、職場での配慮など自分だけではうまく伝わらないことを相談したり、企業と障害者の間に入って困り事の解決の力になったりしてもらいましょう。

最後に、障害者雇用での就職を目指すことは狭き門でる面もあります。是非、こちらの記事も参考にして成功の可能性を高めてください。

まとめ

今回の記事では、障害者雇用 は【楽じゃない】！？直面する壁とその乗り越え方と題して、以下の内容をご紹介しました。

結論として、

障害者雇用の壁の乗り越え方は、以下の3つです。

そして、障害者雇用の各所での壁を乗り越えるには、以下の方法での就職や転職をして就職後の支援も受けることが大切です。

就労移行支援事業所などの支援機関の利用や、障害者向け転職サイト・エージェントからの求人応募