「障害者の収入は低いって本当?」
「障害者の年収はどれくらい?」
「年収をUPさせる方法はある?」
こんな疑問や不安を抱え、実際の障害者の収入事情を知りたい障害者の方も多いのではないでしょうか。
「障害者雇用促進法」では、雇用における「障害を理由とする差別的取り扱い」を禁止しています。この法では、賃金や昇進についても障害者であることを理由に排除することや不利な条件を設けることは禁止されていますが、障害者雇用で働く人を含め障害者の収入は一般労働者よりも低い傾向があります。
今回の記事では、以下のことをご紹介します。
- 障害者雇用で働くとは
- 障害者の年収の現状
- 障害者雇用で働く人の年収が低くなる要因
- 障害者雇用で年収UPを目指す6つの対策
結論として、年収の高い企業や年収UPが見込める仕事と出会うためには、以下の方法が大切です。

記事の最後に、お勧めの就労移行支援や転職サイト・エージェントも紹介するよ。
この記事を最後まで読むことで、あなたの年収UPにお役立て頂けると幸いです。
障害者雇用で働くとは


障害者雇用とは、障害のある方が民間企業や公的機関で働くための制度です。企業には一定割合の障害者を雇用する義務があります。
障害者雇用枠で働くことが出来る人
障害者雇用枠に応募して働くことが出来る人は、原則として障害者手帳を取得している方です。





私は発達障害なので、精神障害者保険福祉手帳を取得しているよ。



障害者手帳で障害種別や等級を証明して働くということだね。
ちなみに、障害者雇用枠で働いている人の人数は以下のようになっているよ。
厚生労働省の「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」によると、令和6年6月1日時点の身体障害者、知的障害者及び精神障害者の障害者雇用の状況は以下の通りです。





法定雇用率達成企業の割合は46.0%で、対前年比4.1ポイント低下だったよ。



令和6年は4月から法定雇用率2.5%に引き上げられたこともあるので、雇用率が追い付かなかった企業もあるのかな?
障害者の法定雇用率
障害者雇用率制度により、障害者の法定雇用率は段階的に引き上げられており、障害のある方が障害者雇用枠で働くチャンスは少しずつ広がっています。
令和5年度 | 令和6年4月 | 令和8年7月 | |
---|---|---|---|
民間企業の法定雇用率 | 2.3% | 2.5% | 2.7% |
対象事業主の範囲 | 43.5人以上 | 40.0人以上 | 37.5人以上 |



令和8年に次の引き上げが予定されているんだね。



そうだね。
法定雇用率の達成企業は約半分という課題はあるけれど、法定雇用率が段階的に引き上げられていることで、障害者雇用枠で働く障害者は増えているよ。
障害者雇用で働くメリット・デメリット
障害者雇用で働くメリットは、以下のようなものがあります。
- 障害への合理的配慮・周りの理解を得る環境
- 一般枠より就職しやすい場合がある
- 大企業で働くチャンスがある
- 支援機関で就職前後の支援を受けることが可能
- 離職率が下がり長く安定して働ける
- 障害者控除が受けられる



障害者雇用枠で働く一番のメリットは、働く上での配慮が受けられることだよね。
障害者雇用では、以下のようなデメリットもあります。
- 一般雇用に比べて求人数が少ない・職種の幅が狭い
- 企業は、障害別で雇用実績の差がある
- 求人の多くが非正規募集である
- 企業が障害に対する理解不足の場合もある
- 業務制限がありキャリアアップしにくい場合がある
- 雇用形態や業務によって給与水準が低い場合がある
障害者雇用枠で働く本人のメリットやデメリットは、以下の記事で詳しくご紹介していますので参考にしてください。


障害者の年収の現状


障害別 平均賃金と平均年収
厚生労働省の調査によると、従業員規模5人以上の事業所に雇用されている障害者数は 110万7,000人であり、障害別の平均賃金は以下のようになっています。
*障害者雇用に限定した賃金ではありません。



賃金とは、給料・手当・賞与など労働の対償として事業主が労働者に支払うすべてのものを指しているよ。


参考:厚生労働省 「令和5年度障害者雇用実態調査の結果
また、
この障害別の平均賃金に12ヶ月をかけて平均年収を計算すると、以下の金額になります。
- 身体障害者:23.5万×12ヶ月=282万
- 知的障害者:13.7万×12ヶ月=164.4万
- 精神障害者:14.9万×12ヶ月=178.8万
- 発達障害者:13万×12ヶ月=156万
*ただし、この調査金額は「障害者雇用枠」での雇用のみではなく、障害者が一般雇用枠などで働いた場合も含む可能性があります。



身体障害者以外は、日本の非正規雇用の平均年収以下だね。



そうだね。正社員雇用などで賞与があるかも関係するけれど
非正規雇用が多い障害者の現状では、障害者の年収は、日本全体の平均年収より低いと言えそうだね。
障害別 正社員雇用割合
厚生労働省の令和5年度の調査によると、従業員規模5人以上の事業所に雇用されている障害者数は 110万7,000人で、障害別の正社員雇用の割合は以下のようになっています。


参考:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査」



身体障害者の方は約6割だけど、その他の障害では約2-3割程度なんだね。



そうだね。
日本では労働者の約6割が正規雇用だよ。
障害によって雇用が義務化された年も違うので勤続年数の差も影響している可能性もあるけれど、障害者の非正規雇用で働く割合は高いと言えるね。
障害者雇用で働きたいけれど、自立した生活ができるか不安な方は、以下の記事で、「制度の利用」「収入を増やす」「生活費を削減する」の3つの視点で対策を紹介していますので、是非参考にしてください。


障害者向け転職サイト・エージェント
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就労移行支援事業所
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*日本全国に事業所がないものもありますので、ご自身の地域にあるかはご確認ください。
障害者雇用で働く人の年収が低くなる要因


「障害者雇用促進法」では、雇用における「障害を理由とする差別的取り扱い」を禁止しています。
この差別の中には、募集・採用、賃金、配置、昇進、降格、教育訓練などにおいて、障害者であることを理由に排除することや、不利な条件を設けることが含まれています。



じゃあ、同じ企業において同じ職種や仕事内容をしているのであればお給料は同じということだよね。
なぜ、障害者雇用の給料は低い傾向があるの?
先にも少しふれましたが、障害者雇用の給料が低くなってしまう要因には、以下のようなものがあります。
- 時短勤務をしている
- 非正規で雇用されている
- キャリアアップしづらい職種
- 勤続年数の差
- 最低賃金減額特例の適応



詳しく説明していくよ。
時短勤務をしている
障害者の種類や個々の特性によっては、フルタイム勤務が難しいために時短勤務などの配慮を受けていることがあります。
障害別の週の労働時間は、以下の通りです。
- 身体障害者 75.1%
- 知的障害者 64.2%
- 精神障害者 56.2%
- 発達障害者 60.7%
- 身体障害者 15.6%
- 知的障害者 29.6%
- 精神障害者 29.3%
- 発達障害者 30.0%
- 身体障害者 7.2%
- 知的障害者 3.2%
- 精神障害者 8.4%
- 発達障害者 4.8%
参考:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査」



「週30時間以上」が、どの障害においても一番多いんだね。



そうだね。
ただし、正社員やフルタイム勤務なら週40時間が基本なので、この中にも時短勤務している方が含まれている可能性があるね。
非正規で雇用されている
先にデータでご紹介をしましたが、障害別の正社員雇用で働く割合は、下記の通りです。
- 身体障害者 52万6,000人中 59.3%
- 知的障害者 27万5,000人中 20.3%
- 精神障害者 21万5,000人中 32.7%
- 発達障害者 9万1,000人中 36.6%
参考:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査」
身体障害者については、雇用の義務化が一番早い障害であることも関係してか、正社員の割合は約6割となっていますが、その他の障害者については、約2~3割しか正社員雇用されている人がいないのが現状です。



非正規雇用だと、正規雇用に比べて福利厚生が充実していなかったり、賞与がない場合もあるので、年収に影響するよね。



そうだね。
ただし、障害者自身がフルタイムがで出来ないなどの為に正社員雇用を望んでいなかったり、企業側も「どれくらい仕事が出来るか」を確認してから正社員にするかを判断したかったりすることが、非正規雇用が多い理由でもあるよ。
キャリアアップしづらい職種
障害者雇用で求人のあるの多くの職種は、専門職や事務補助、軽作業などが中心であり、特に事務補助や軽作業の職種ではキャリアアップがしづらいのが現状です。



営業職などのように成績が給料に反映されたりが難しいよね。
勤続年数の差
障害別の平均勤続年数は、以下の通りです。
- 身体障害者は12年2月(前回調査 平成30年は10年2月)
- 知的障害者は9年1月(同 7年5月)
- 精神障害者は5年3月(同 3年2月)
- 発達障害者は5年1月(同 3年4月)
(注) 平均勤続年数は、勤続年数の短い新規の雇用者の構成割合が増えると、短くなる。



(注)であるように、精神障害や発達障害は、義務化からの年数が浅いので、新規雇用の構成割合が高いために、他の障害と比べて勤続年数が短い結果が出ている可能性もあるね。
障害によって雇用が義務化された年に差があるため、平均勤続年数の差もありますが、長く雇用されているほど基本給や時給が上がってきていたり、正社員に雇用される可能性も上がってきます。
最低賃金減額特例の適応
日本の最低賃金制度には「最低賃金の減額の特例許可申請」と呼ばれるものがあります。
一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、雇用主が都道府県労働局長の許可を受けることで、個別に最低賃金の減額の特例が認められる制度。
参考:賃金(賃金引上げ、労働生産性向上) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)



減額申請対象は以下のような方だよ
- 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
- 試験的な使用期間中の者
- 基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者
- 軽易な業務に従事する者
- 断続的労働に従事する者
最低賃金の減額の特例許可制度を雇用側が申請した場合は、賃金が低くなっている方もおられます。



結論、障害があるために働く上での配慮を受けることが、収入に影響しているともいえるね。



配慮を受けて働く調整をすることと、収入をUPさせることは相反する関係にあるんだね。




障害者雇用で年収UPを目指す6つの対策


障害者雇用を含む障害者の収入についての現状をお伝えしてきました。
ここからは、障害者雇用での給料や手取りを増やしたり年収をUPさせたりするための対策をご紹介していきます。



そうだ!
手取りを増やすことも重要だよね!
- 税制優遇制度の活用
- 福利厚生や手当の活用
- スキルアップや資格取得
- フルタイムや正社員登用を目指す
- 大企業の障害者枠への転職
- 高収入を狙える職種に転職



一つひとつ紹介していくよ。
- 税制優遇制度の活用
-
障害者雇用で働いていると、年末調整で障害者控除を申請することができ、税金を抑えることが出来ます。
障害者控除の控除額
- 障害者:27万円
- 特別障害者:40万円
障害者控除に限らず、控除の申請ができるものがあればしよう。
控除されるものが増えると、手取りが増えるね。
- 福利厚生や手当の活用
-
勤務している企業の福利厚生を再度確認してみましょう。家族手当など自分から会社に申し出ることで適応されるものもあります。正社員雇用に限らず適応される福利厚生は企業で違いますので、対象となる手当や補助は受け取りましょう。
- スキルアップや資格取得
-
業務に関係した資格を取得した場合、資格取得手当や補助が出る企業もあります。
補助が出ることで、自費を押さえることが出来ますし、身に着けたスキルがあることで資格取得手当が給料に反映されたり、業務貢献をして昇給を目指すことも出来ます。
少しであったとしても、資格取得手当で毎月の給料がUPすると年収UPに繋がるね。
- フルタイムや正社員登用を目指す
-
勤務時間を増やしたり、非正規雇用から正社員雇用に雇用形態が変わると、給料UPや福利厚生が手厚くなることで手取りを増やすことに繋がります。
最初から正社員雇用で働くことが難しい場合も、「正社員登用あり」の企業に就職しておくことで正社員になるチャンスが出来るね。
例えば、正社員雇用になったことで賞与が支給されるようになると、年収が数十万~増えることになるからね。
- 大企業の障害者枠への転職
-
現状の企業では収入UPが見込めない場合は、条件の会う企業に転職をするのも手だね。
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*障害者向け転職エージェントは障害者手帳を取得している方が利用可能です。障害者雇用専門の転職サイトやエージェントでは、募集職種・給料や年収の目安・福利厚生なども詳細に掲載されています。
あわせて読みたい【2025年】障害者雇用は【大企業】目指せ!お勧め理由&企業ランキング 「障害者雇用で待遇がよいのはどんな企業?」「障害者雇用に取り組む大企業には、どんな会社があるの?」「大企業の障害者雇用求人枠は倍率が高い?」「大企業の障害者… - 高収入を狙える職種に転職
-
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結論、
給料が高い仕事に就く戦略や、高年収の仕事を目指す戦略は以下の記事で詳しくご紹介していますので、是非参考にしてください。




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まとめ


今回の記事では、障害者雇用の【年収】はいくら?障害別平均年収と6つの年収UP対策と題して、以下の内容をご紹介しました。
- 障害者雇用で働くとは
- 障害者の年収の現状
- 障害者雇用で働く人の年収が低くなる要因
- 障害者雇用で年収UPを目指す6つの対策
結論として、
障害者雇用で手取りを増やしたり年収をUPさせたりすることを目指す対策は、以下の6つです。
- 税制優遇制度の活用
- 福利厚生や手当の活用
- スキルアップや資格取得
- フルタイムや正社員登用を目指す
- 大企業の障害者枠への転職
- 高収入を狙える職種に転職
そして、年収の高い企業や年収UPが見込める仕事と出会うためには、以下の方法が大切です。



就労移行支援事業所は、就職相談はもちろん、施設見学をしたりカリキュラムや支援実績を確認したりして決めることが大事だよ。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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